「選んでいいよ…と言われても」4月から変更される公的年金制度
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今月は、バラ色の給付というわけにはいきませんが、死ぬまで受給ができる公的年金を切り取ります。
今回の年金改正は、自分の働き方などに合わせ、多様な受給の仕方を後押しする狙いがあります。自分自身のリタイアメントプラン作成時には、自分の受給開始をどうするのか、ねんきん定期便を使ってプランを立てることが基本になります。
原則、老齢年金の受給開始年齢は65歳です。(65歳からとなっている年金支給開始年齢の引き上げは行わない)
本来の65歳の受給開始年齢よりも、早くもらう「繰り上げ受給」と、遅くもらう「繰り下げ受給」が選択できます。「繰り上げ受給」では、早くもらう代わりに年金額は少なくなります。
これまでは、早くもらう「繰り上げ受給」の場合、1カ月繰り上げるごとに0.5%減額されていました。これが今回の改正で、減額率は0.5%→0.4%に引き下げられます!
●計算してみましょう。
老齢基礎年金(国民年金)2021年度価額、保険料完納者の場合、65歳受取年額は780,900円です。
60歳男性の平均余命は24年(期待値)。(出所:厚生労働省簡易生命表)
本来の65歳受給額780,900円を24年間受け取る場合の合計額は約1,874万円です。
新たな減額率0.4%の受給額593,484円を60歳から24年間受け取る場合の合計額は約1,424万円です。
60歳から早くもらうと約449万円減額されてしまいます。(女性の場合は543万円減額)
※新たな減額率が適用されるのは、2022年4月1日以降、60歳に到達する方が改正の対象です。
●注意点
この改正により、「いつ亡くなるかわからない。だから年金は早くもらいたい」とお考えの方が増えることになりそうです。しかし「周りの友人も同じようにやっているから」という意味付けは後悔を招きます。友人が保有する年金の種類や収入はあなたと違うはず。
繰り上げて早くもらうデメリットは?
①減額された年金が一生続く。(取りやめたり変更したりすることができない)
②障害基礎年金の対象となったとしても受け取ることができない。
③寡婦年金が支給されない。などほかにも…
●まとめ
公的年金の受給開始を60~75歳の間で個々に選ぶことができる。
しかし繰り上げる(早くもらう)場合は、デメリットも多いことから収入と体調を考慮したうえで慎重に決断する必要がある。
夫婦いずれかの老齢基礎年金を繰り下げる(遅くもらう)場合は、妻の年金の支給を繰り下げた方が増額される年金の総額が大きくなる。
加えて、ねんきん定期便の記録漏れや誤りを確認し、年金額を少しでも増やせるように未納をなくしていくことも肝心。
※今回の改正で年金の繰り下げ受給(遅くもらう)は70歳から75歳に引き上げられる。(2022年4月1日以降に70歳に到達する方が改正の対象となる)
●私の考え
私のリタイアメントプランは働けるうちは働き、健康の不安からさみしさを感じたらシニアハウスへ転居予定。入居したい施設の費用をまかなうため、65歳からの年金を繰り下げて少しでも増やそうと考えています。理想の生活は「行ってらっしゃい!お帰りなさい!」の声掛けがあるシニアハウスでアクティブに。
年金を「損」「得」でとらえると間違った選択をしてしまいます。その時点では得でも、将来、制度の変更によって損する可能性もあるからです。