愛のバトン「18歳の遺言書」~こころもお金も元気で居続けるために
「遺言」というと高齢者やお金持ちの人が行うべきものと思われる方は多いですよね。
しかし、民法では「十五歳に達したものは遺言をすることができる」としています。(民法961条)
その理由は、義務教育終了の年齢であること。15歳以上であれば未成年でも意思能力が認められ遺言能力が備わっているとされているからです。
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18歳で遺言を残されたケース
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短大生のA子さん、両親は離婚し父は家を出ていき、A子さんは母親に育てられました。しかし母は病気で亡くなり、A子さんが預貯金と家を相続しました。今は、母方の祖父母と一緒に暮らしています。出ていった父のことはよく思っていません。A子さんには持病のぜんそくがあり健康に不安を感じています。もしA子さんが死亡すれば、母から受け継いだ遺産は出ていった父親が相続することになります。A子さんはそれを許したくありません。今お世話になっている祖父母や亡き母の兄弟に相続させたいと願っています。
願いを伝えるのが遺言の役割で、法的に有効な形にしたのが遺言書です。
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若くして遺言を残す理由
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若くして遺言を残す必要があるのでしょうか?その理由は家庭の事情や職業に関係するようです。
- 特定の相続人に多くの財産を渡したいから。
- 車やバイクが好きで遠くに行くことが多く事故が心配だから。
- 結婚し子供が生まれ、「もし自分が死んだ後は…」と考えたから。
- 海外派遣などが発生する自衛隊の職業に就いているから。
- リスクや危険度が高いと判断された職業に就いているから。
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遺言によるスムーズな相続
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人が死亡すると、その人の財産は戸籍上の相続人に引き継がれることとされています。引き継がれる財産には、預貯金や不動産だけでなく、銀行に対するローン・クレジットカードのリボルビング払い残金(債務)も含まれます。
なお、債務の額が多い場合には相続の開始されたことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に書類を提出することにより相続放棄することができます。(放棄したい人が単独で行う)
亡くなった人の銀行口座を解約することも相続です。(相続人全員の印鑑証明が必要)もちろん取引のある銀行ごとに提出する書類を作成します。(遺産分割協議書)
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わたしの考え
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A子さんは若い世代ですから「終活」より「就活」を思い浮かべたことでしょう。これから何をやりたいかという意味では、就活も終活も考え方次第で似たような点があるかもしれません。
就活は就職したら将来に備えるイベントやお金の計画が必要になります。終活であれば、未来に対して描いた人生設計をより現実的なものに手直しする必要があります。たとえ計画通りとはいかなくても、これからの暮らしをイメージしながら改善策を考えればいいのです。
こころもお金も元気で居続けるために、目先の好きなこと、できることを進めてみましょう!